千葉県我孫子市Tマンション:事例紹介:デザインショップまちや

コンセプト

いま、都市集合住宅に本当に必要な機能な何か?」。集合住宅商品企画の原点に立ち返ることで、これまでにない街の姿を描くことが出来た印象深いプロジェクト。「癒し」と「出会い」をテーマに、アジアンリゾートに学んだパブリックスペースデザインが大きな反響を呼んだ。

写真1居住者にも評判の中庭

<開発の背景> 本プロジェクトは双子プロジェクトとして先行して開発されたRプロジェクトに続く我孫子第2弾プロジェクトとして開発された。 広大な敷地面積のあったRプロジェクトに比べ敷地面積も小さく、高い評価を得たとはいえ同様の企画は難しいことが、むしろ本プロジェクトの特徴ある企画を生み出す力となった。 企画にあたっては集合住宅計画の原点に立ち返り、「こころからくつろぐことの出来る街のあり方」について検討を重ねていき、最終的に辿り着いたテーマは「癒やしと出会い」。自分自身を取り戻す癒やしの空間と、新たな活力を生み出す魅力的な出会いのある街。これが本プロジェクトの街づくりのコンセプトとなった。 空間に落とし込んでいくにあたっては、世界の人々を魅了するアジアのリゾート地を大いに参考にさせてもらった。単なる模倣と思われないよう概念レベルで詳細まで練り上げた共用施設及びランドスケープデザインは、販売時にも大きなインパクトをもって人々に迎え入れられ、Rプロジェクトに続き早期完売となった。

写真2独立して配棟された共用棟
写真3中庭全景

共用施設の内容

都市に生活する人々が心身ともにくつろげる街をつくるために、まず重視したのが中庭のデザイン。大規模マンションというと広い芝生の広場がある、という既成概念にとらわれることなく、何回来ても新しい風景に出会う、散策が楽しくなるような中庭を目指した。決して広くはない中庭を奥行き深く見せるために「芝生の広場」は採用せず、“ジャングル”をつくることにした。そして、ジャングルの中で人々が安心してくつろげる場所としてリラクゼーションゾーンを配置。リラクゼーションゾーンとジャングルは、人の身長ほどの石柱を結界と見立て明確に仕切られているが、ジャングルの中に作られた聖なる泉から湧き出た水は、結界を通り抜けリラクゼーションゾーンのシンボルとなる水場を創り出す。水は人々のこころを癒し、涼しさや雨音や波紋を楽しむ機会を人々に与える。人のゾーンには、独立して共用棟が配置されている。1Fにはサロン、パーティールーム、キッズルーム、2Fにはヨガスタジオ、岩盤浴、ゲストルームが配置され、すべての部屋が外部空間との一体感を大切に作られている。
また自然の中での時間を重視するアジアンリゾートの特徴の一つとして半屋外空間の存在がある。本プロジェクトでは、エントランスホールとサロンをつなぐ中間エリアに、バーカウンターと屋外対応のソファがある半屋外空間(ピロティ)が、まさにアジアンリゾートのようなくつろぎの場を提供している。
また、バリで購入した絵画やタペストリー、スタンドなどの調度品「癒しと出会い」の場を作り出すのに貢献している。

写真4結界としての石柱
写真5中庭に大きく開口面をもつサロン
写真6バリで購入した絵画
写真7半屋外空間にもソファ

共用施設活用例

中庭を広場でなく、回遊動線をもつ散策路としてデザインした結果、他のマンションと比較して、居住者が中庭に出てきたり、ベンチに座っている姿を見る機会が飛躍的に増えたと感じる。また、中庭に大きく開け放たれたサロンでは、音楽会や居住者交流会などが開かれている。写真はバリ舞踊の楽団を招いた時の様子。ガムランの音色と衣装も鮮やかな踊り手によって、マンションに居ながらにして、バリ島に旅行しているような気分に浸ることが出来た。
半屋外空間に作られたバーカウンターもイベント時には活躍している。外部空間に本格的な衛生設備があるとコミュニティ活動が活発に行われているマンションではとても重宝する。

写真5バリ舞踊
写真5中庭で自然観察会
写真5バー

◎事業主:双日(株)、東レ建設(株)、(株)明豊エンタープライズ、(株)長谷工コーポレーション
◎設計・施工:長谷工コーポレーション
◎竣工年度:2008年3月
◎コミュニティ形成支援期間:2008/4-2010/3